金沢市「養サポ」事業 立案担当者のつぶやき⑭【具体的な支援(助成)(4)弁護士費用その1_制度の全体像と利用の留意点】

2026年04月07日

いよいよ、養サポの解説も最後の項目である。

今回から、利用者数・助成額ともに多い「弁護士費用助成」について解説する。

まずは、助成の内容や条件について、やや詳しめに整理する。

■ 助成の内容

着手金および報酬金について、それぞれ上限10万円まで助成している。

一見シンプルな制度であるが、実務上はいくつか重要な留意点がある。


1 事前申込制と「セット申込」

養サポ全体に共通するルールとして、事前申込制を採用している。すなわち、専門家(専門機関)を利用する前に、子育て支援課での申込を必須としている。

この制度設計との関係で、報酬金のみの助成は認めていない。弁護士との契約前に、着手金と報酬金をセットで申し込む必要がある。


2 既に依頼済みの場合の取扱い(段階ごとの契約)

もっとも、既に弁護士に依頼している場合であっても、助成が可能なケースは相当数存在する。

養育費(離婚)事件は、「交渉 → 調停(審判) → 訴訟」と段階的に進行することがあり、弁護士との契約も通常は各段階ごとに締結される。

「1」のルールは、あくまで一つの契約単位で適用されるものである。したがって、事件が未解決のまま次の段階(例えば、交渉から調停へ、調停から訴訟へ)に進み、新たに弁護士と契約を締結する場合には、その契約に係る着手金および報酬金について助成申込が可能である。

他方で、一度利用申込を行った案件に関しては、利用者の手間に配慮し、その後に同一案件内で後続の契約(調停から訴訟への移行など)を締結する際の、事前申込は不要としている。


3 対象事件の範囲(取決めから回収まで)

弁護士費用助成は、養育費の取決め事件にとどまらず、強制執行事件(回収事件)も対象としている。

さらに、2026年4月1日施行の改正民法等により養育費に先取特権が付与されたことを踏まえ、従来の強制執行事件に加え、担保権実行事件も助成対象に含めることとした。


4 着手金が上限未満の場合の取扱い(合算)

例としては多くないが、着手金が10万円未満である場合には、次の段階に進んだ際の着手金と合算して助成を受けることが可能である。

例えば、法テラス利用で示談交渉から調停へ移行した場合や、民事執行事件において財産開示手続や第三者からの情報取得手続を組み合わせて進める場合などが想定される。


5 報酬金助成の要件と上限

報酬金の助成については、特に留意すべき点が二つある。

第一に、「成果」が得られることを要件としている点である。

取決め事件においては少なくとも養育費支払の合意が、民事執行事件においては養育費の回収が必要となる。これらの成果が得られなかった場合には、報酬金の助成は行われず、着手金のみの助成となる。

第二に、助成額の上限に関する制約である。

上限10万円という枠に加え、【養育費の受取り開始後1年間分の報酬金】までに限定している。

これは、本制度が国の補助金を活用していることによる制約であり、補助対象範囲がそのように定められているためである(こども家庭庁「離婚前後親支援事業(現:離婚前後家庭支援事業)実施要綱」4(1)③ク)。


まとめ

以上のとおり、弁護士費用助成は、制度としてはシンプルに見えつつも、実際には相応に細かな要件を据えた設計となっている。

これは、養育費確保のために必要な事件類型を過不足なく対象としつつ、制度としての公平性も担保するため、一定の助成上限や要件設定を行っていることによるものである。

もっとも、とりわけ「5」の国補助金に由来する制約については、使い勝手に課題があることは否めない。この点については、稿を改めて、具体的な問題点を検討する。