金沢市「養サポ」事業 立案担当者のつぶやき⑧【具体的な支援(助成)(1) 弁護士の紹介】

2024年05月16日

さて、今回から、各支援(助成)の中身についての解説に入っていくことにする。

まずは、「弁護士の紹介(法律相談料の助成)」である。

これは、父母に対し、金沢弁護士会所属の弁護士を紹介した上で、養育費の確保(取り決め・変更・回収)にかかる初回法律相談費用(1時間分)を助成するというものである。

いきなり結論めいた話になるが、およそ個人の法律相談の分野については、「法テラス」という巨人が君臨しているので、養サポの弁護士の紹介(法律相談料の助成)は、メニューの1つではあるものの、脇役にしかなり得ない。

どういうことか。

そもそも、収入及び資産が基準以下である個人は、自治体の助成を受けるまでもなく、法テラスで弁護士による無料法律相談が受けられる(刑事事件を除く法律問題全般について。しかも同一問題につき3回まで)。

この法テラスの収入・資産基準は必ずしも厳しいものではないので、経済的に苦しいひとり親(ひとり親世帯)の多くが基準を満たす。したがって、養サポの弁護士の紹介(法律相談料の助成)は、あくまでも法テラスの無料法律相談を補充するものと位置づけられることになる。実際、養サポでは、法テラスを利用できそうな方には法テラスを利用していただき、そうではない方に養サポの法律相談を利用していただくという振り分けを行うことを念頭に置いている。


さらに言うと、金沢市の養サポでは、「法律相談」という言葉を用いること自体、やや的を外している(そのため、敢えて「弁護士の紹介」という言葉をメインで用いた)。

そもそも、相談者が法律相談に期待することは、大きく分けて2つある。

1つは、法的な問題点の発見・整理・解消し、これを相手との交渉などに活かすことである【①純粋な法的カウンセリング機能】。

もう1つは、法律相談をした弁護士に対して、実際に自分の案件を依頼するかどうかを見極める場になるということである【②出会いと見定めの場】。

このうち、①については、金沢市子育て支援課では、母子・父子自立支援員や弁護士(三澤)なども相談対応にあたっており、その機能がかなり充実しつつある。このため、子育て支援課を訪れた父母は、法的な情報(事件の見通しはどうか、どういった解決手段があり得るのか、それぞれのメリットデメリット、第三者(公証人、家庭裁判所、ADR機関、弁護士)を利用した場合の費用はそれぞれどれくらいであるか等)を入手することができる。

したがって、単に法的な情報を仕入れるためだけに、時と場を改めてさらに別の法律相談をしに行くというニーズは確実に薄まりつつある(少なくとも私にはそう見える)。

必然的に、相談者(父母)は、②を求めて、「法律相談」する(法律事務所の扉を叩く)という側面が強まっていくだろう。


私としては、「弁護士との出会いの場」が良い感じにうまくいき、委任・受任に繋がって欲しいと切に願っている。養育費の問題(特に離婚と同時に養育費を取り決める場合)は、①の情報が入手できたとしても、中々自力では解決できず、代理人弁護士の助力が必要であろうと思われる場合が少なくないし、代理人弁護士の力を借りることでより良い解決も望めるからである。

法テラス、弁護士会、自治体、母子会などが実施する各種法律相談が入り乱れる中で、養サポの法律相談の違い・特色を挙げるとしたら、家事事件に明るい相談担当弁護士と、(法テラスでも弁護士会でも市役所でもなく、)法律事務所で、相談できるという点だろう(※)。

相談者は、実際に法律事務所を訪れることで、法律相談の先にある、事件の委任と代理人弁護士との協働という世界のイメージを持ちやすいということはいえるかもしれない。

私としては、養サポの法律相談は委任率(受任率)が高い、と胸を張って言える制度(相談ルート)にぜひとも育てていきたいと考えている。

※ 養サポの法律相談では、相談場所が指定・限定されている訳ではないが、日時や場所を含めて相談者と弁護士とでやり取りを行って決めることになるので、通常は法律事務所で相談を実施することになるだろう。