金沢市「養サポ」事業 立案担当者のつぶやき⑤【誰が支援(助成)を受けられるか(3) 離婚前の父母への支援の必要性①】

2024年05月10日

「なぜ離婚前の親を支援するのか?」

養育費の確保を推進するためには、一般に、離婚後のひとり親だけではなく、離婚前の父母も支援した方が良いと考えられているのはなぜだろうか?

日本では、離婚時に妥当な金額とは言い難い低額な養育費が定められてしまっていたり、あるいは、そもそも離婚時に子の養育費の取決め自体がされていなかったりするケースが(残念ながら)非常に多い。

法が取決めを義務づけていないという点もあるが、その先にある問題として、第三者の関与なく離婚できる(離婚できてしまう)ことに一番の原因がある。

どんなに関係の良好な父母(夫婦)であっても、社会的、経済的な意味でのパワーバランスは完全に均衡するものではないだろうし、コミュニケーションがうまくいかない時もあるのが普通であろう。

関係が破綻し離婚を検討することとなった父母の場合、こうした構造的な問題が顕在化・先鋭化する。その結果、養育費を含む離婚条件の取決めに悪影響が及ぶことになるのであるが、個別具体的には、一方の親が泣き寝入りする形で(自覚的であるか無自覚的かは問わない)、もう一方の親がつきつける離婚条件を受け入れてしまうケースが後を経たない。

かくして、子どもが犠牲になる。

このように、紙切れ一枚で親たちが離婚できてしまうこと(=自由すぎる協議離婚。さらに言えば「協議などしない離婚」)に本質的な問題がある。

現行法を前提とした上で、こうした問題構造にメスを入れるには、遅くとも離婚が成立する前に、第三者(広い意味での専門家)が関与するしかない。

勿論、離婚案件の中身やその具体的な離婚条件に第三者がどこまで踏み込むか(踏み込めるか)は、関与する第三者の種類(公証人、家庭裁判所、ADR機関、代理人弁護士、離婚前後親支援講座担当講師等)によって違いがある。

しかし、第三者の関与が全くない状況に比べれば、改善が望めることに異論はないだろう。

これら第三者を父母が利用した場合の費用を自治体が助成するということは、つまりは、自治体が奮起して、父母間のみで成立していく離婚が蔓延る世界を、第三者の関与がある離婚が当たり前の世界に(一段階)押し上げようとする試みであるということになる。